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「ちょっとコレ見てもらえますか?」
とよくnext.をご来店していただいているお客さんからおハナシをされました。
手には、80年代のDISCOの12インチシングルが・・・。
ウチのお店でも扱ったコトのあるレア盤です。
穴開きジャケットから見えているレーベル部分をパッと見て「おっ!レア盤っ!」って手渡されて一瞬気持ちが揚がったんですが、透明ビニールに入っている穴開きジャケットから直に盤を手に触って瞬間に「んっ!?」っとカンジるナンともいえない違和感が・・・。
で、盤を取り出してレーベル面を見ると「あ〜コレは・・・」と揚がった気持ちも一気にダウン・・・。
お客さんが見せてれたのは、オリジナル盤だと結構レアなブート盤(ブートレッグ)だったのでした。

事情を訊いてみると、会社の都合でとある都市へ出張に出向いた際に、少し空きの時間があったのでその街のレコード店を訪れたそうです。
そのお店で、その盤を見つけて「あっ!!コレっ!」って思い購入したそうです。
訪れたお店は、店内のセレクションからすると、BLACK MUSIC / SOUL MUSICをメインで販売しているレコード店でした。
購入したレコードは、お客さんの今までの相場観だと1万2〜3千円くらいするレコードだったのですが、そのお店では8000円で販売されていたそうです。
フツーに考えたらお買い得な印象です。
ま〜そもそも1万2〜3千円という相場観があっても実際に盤が販売されているシーン自体が少ないと思います。
一応、購入する前にお店の人に「コレってオリジナル盤ですか?」って確認したトコロ、「解りません」と言われたそうです。
そのレコード店では、自店舗で販売しているレコードと他から預かって委託販売しているレコードが混在して販売しているそうで、お客さんが気になったレコードは、「委託販売のレコード」だったそうです。
どういうルールで委託販売しているのかっていうのは解りませんが、お店的には「販売の場」を提供しているダケで、商品に関する詳細な内容までは関知しないってスタンスだったのかもしれません。
その場で、Webサイトなどを見て確認すればよかったのですが、欲しかったレコードを見つけて気持ちが高揚していたってコトや、出張で出向いて久しぶりに訪れたお店ってコトや、その後のスケジュールが詰まっていて時間的に余裕がナイ状況だったってコトなどが絡んで冷静な判断がその場で出来なかったって言っていました。
結局、オリジナル盤かどうか解らないケド、大丈夫だろう・・・という判断をして購入したそうです。

で、シゴトを終えホテルに戻ってスマホで購入したレコードをWebサイトを確認したトコロ、「アレ?もしかしてブート盤かも・・・?」って気がついたようでした。
出張から東京へ戻ってきたそのついでにnext.に立ち寄って頂いた時に、オイラがその盤をみて「ブート盤ですねぇ」っていうコトを聞いて「あ〜やっぱりそうですか・・・」ってちょっとガッカリした様子でした。
ナンかそんなハナシを訊くとオイラも複雑な気持ちになりました。
ブート盤を購入したお客さんは、「オリジナル盤」だと思って購入したハズだと思います。
委託販売していたレコード店は、オリジナル盤かブート盤か本当に知らなかったのかもしれません。
更に、委託販売を依頼した人は、8000円という値付けからすると「オリジナル盤」だと完全に思っていたのかもしれません
コレは性善説を基本に考えると「全員がその盤をオリジナル盤だ」と誤認したってコトでしょう。
だけど、性悪説だと、委託販売を依頼した人が「ブート盤だけど、シラばっくれて騙して売ってやろう」って思い、委託販売したレコード店も、「ブート盤って知ってるけど委託のレコードなんでウチには関係ナイし、売れれば委託の手数料が儲かるからシラばっくれておこう」って思ったのかもしれません。

また、タチの悪いコトにそのブート盤も見た目の造りがオリジナル盤そっくりなんですよ。
レーベルの絵柄は丸っきりオリジナル盤と同じ、しかも穴開きジャケットは80年代の当時の古い造りのジャケットに差し替えられていました。
また、インナースリーブも経年で少し黄色く変色したカンジになっていたんですよね。
コレは、偶然で元々あったジャケットやインナースリーブが傷んだり紛失して別のジャケットに変えられたのか、レコード盤はブート盤だけど、オリジナル盤に見えるように偽装のため差し替えられたのか・・・。
いや〜ナンかもう、レコードを販売している立場であり、レコードが好きで購入する立場も解るオイラとしては、もうホントフクザツな気持ちにならざるを得ない事象です。
あくまで、想像ですケド、レコード屋的には、「ソレがオリジナル盤かブート盤か本当に知らなかった」のかもしれません。
委託販売で請けたレコードが、ブート盤であるにも関わらず、お客さんの誤認であっても高額な価格で販売されたらお店としては、明らかにイメージ悪いですしね。
また、委託販売を依頼した人も、「オリジナル盤として購入した」レコードであったために高額な値付けをしたのかもしれません。

元をたどれば、オリジナル盤にソックリなブート盤が作られなければこんなコトは起きなかったと思うんですよ。
ブート盤を作る悪質な業者は、作って数千枚のブート盤のレコードをタブン、1000円程度で販売したと思います。
ソレ等が、元の持ち主から手が離れ2次流通するコトで、オリジナル盤かブート盤か解らなくなってしまった為にこんなコトが起きてしまったんだと思うんですよね。
もう、ホント最悪です・・・。
「悪貨は良貨を駆逐する」というコトワザがありますが、まさにコレだと思います。
レコードの人気が再び、盛り上がるっていうのはイイコトだと思うのですが、上記の様なブート盤がオリジナル盤と誤認して販売されるっていうコトは、良くないですよ。


今回、間違えてブート盤を購入したお客さんは「ま〜残念ですけど、イイ勉強になりました・・・」って言っていました。
ん〜ナンか・・・心中お察し致します・・・って気持ちです。
最近こんなニュースがありました。
レコード盤人気復活で偽物も横行
レコードの人気が上がっているのをみて、一時期鳴りを潜めていた海賊盤がまた、再び作られ始めているようです。
ブート盤を買う人がいるから、ブート盤が作られる・・・この構図、ホントどうにかならないモノかな・・・って思います。